アブストラクト(41巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胃大網動脈グラフトの流量特性ならびに薬剤反応性に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 諸久永, 小熊文昭, 中沢聡, 名村理, 榛沢和彦, 上野光夫, 林純一, 宮村治男, 江口昭治
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 3
Page : 433-437
Year/Month : 1993 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : in vivoでの胃大網動脈(GEA)グラフトの流量特性を, 薬剤負荷に対する反応から検討した. 雑種成犬22頭の右GEAを剥離後, 末梢端を開放して分時流量を, 更に, 上行大動脈血流量(AoF), 腹腔動脈血流量(CAF)を測定した. ノルエピネフリン(Norepi)を0.2γずつ1.0γまで漸増負荷した群と, クロルプロマジン, ワゴスチグミン, ガストリンを先行投与後, Norepiを同様に追加負荷した3群を検討した. Norepi単独負荷で, GEA血流量は, 0.6γ以上で増加に転じ, 1.0γ時には前値に比し, 117%となったが, CAFは, 53%へ減少した. クロルプロマジン負荷で, GEA血流量は, Norepi追加負荷にても増加を示したが, 高濃度にて減少し, 1.0γ時には, 0.2γ時の約70%となった. また, CAFは, Norepi負荷で著明に減少した. ワゴスチグミン負荷では, GEA血流量の漸増とCAFの漸減を認めた. Norepi追加負荷でGEA血流量およびAoFは, 濃度依存性に増加を示したが, CAFは一定であった. また, ガストリン負荷5分で, GEA血流量, CAFは, 前値と比べ, それぞれ175%, 220%と一過性の増加を示した. Norepi追加負荷で, GEA血流量は濃度依存性に増加し, 1.0γには前値に比し, 185%と増加したが, CAFは漸減した. 以上から, 各種薬剤投与により, GEA血流量は増加を示したが, Norepi追加負荷時には, CAFの減少とGEA血流量の増加を示し, GEA末梢端開放に起因した血管抵抗差から, 血流再分配が生じ, GEA血流量の著明な減少は示さなかった. また, 有茎GEAは胃を灌流していた時と同様に, ホルモン・神経の影響を受ける生きたグラフトであり, in vitroでの薬剤負荷時とは, 異なった反応を呈するものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胃大網動脈, 薬剤反応特性, free flow, ガストリン, 血流再分配
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