| Authors ： |
松居喜郎*, 椎谷紀彦*, 深山雅寿*, 大場淳一*, 合田俊宏*, 安田慶秀*, 田辺達三**, 桜井正之***, 北畠顕*** |
| Abstract ： |
薬剤抵抗性の致死性心室性不整脈に対する植え込み型除細動器（AICD）による外科治療を5症例に対して施行した. 術前不整脈診断は持続型心室頻拍（VT）+心室細動（VF）1例, 持続型VT2例, VF2例で, 基礎疾患として, 4例では各々陳旧性心筋梗塞, 拡張型心筋症, 不整脈源性右室異形成, 肥大型心筋症を有していたが, 他の1例では基礎疾患を有さず特発性と判断した. 全例で心蘇生の既往を認め, 術前EPSによる誘発では5例中2例のみ不整脈誘発が可能であった. 術前CTRは43～65％（平均57.4％）, 術前左室駆出率は26～76％（平均51.2％）であった. 手術時, 除細動電極には大小パッチを, 感知電極には心筋電極を用い, 心臓への到達法として3例では胸骨正中切開法を, 2例では左開胸法を施行した. 除細動閾値（DFT）測定のため術中除細動を2～5回行った際, 全例有効な除細動が得られた. 術後合併症として3例で, 各々心不全, 心膜炎, 胸膜炎を呈したが保存的治療で軽快した. 術後観察期間2～25ヵ月（平均13ヵ月）で遠隔死亡はなく, 2例で, 各々術後6ヵ月, 1年後に自然発作VTに対しAICDが有効に作動した. 慎重に適応を選択すれば, AICDは致死性難治性心室性不整脈を有する患者にとって肉体的, 精神的に極めて有効な治療法となり得る. |
