| Authors ： |
高英成, 今井康晴, 藤原直, 澤渡和男, 松尾浩三, 河田政明, 寺田正次, 竹内敬昌, 長津正芳 |
| Abstract ： |
共通房室弁を合併した単心室の根治術について検討した. 対象は13例（1982年3月～1990年末）であり, 年齢は7歳から17歳（平均10.5歳）であった. 他の合併奇形は肺動脈狭窄12例, 両側上大静脈8例, 左上大静脈1例, 総肺静脈還流異常症（TAPVC）4例, 部分肺静脈還流異常症1例. non-isomerismの左室性単心室1例には心室中隔形成術及び房室弁二分割形成術を, non-isomerismの右室性単心室4例とasplenia7例とpolysplenia1例の合計12例にはFontan手術を行った. Fontan手術は心耳肺動脈吻合, 心房内oblique partitionを原則とし, 上下大静脈の還流部位によってはspiral partitionで対応した. 両側上大静脈の3例では左Glenn手術を追加した. 同時手術としてはTAPVCの修復術を4例に, I～III度の共通房室弁逆流（CAVVR）があった4例では亜全周性の弁輪形成術を行い, 逆流は0～II度に改善した. 死亡は下心臓型総肺静脈還流異常を合併した1例のみである（7.7％）. 術前後での主心室拡張末期容積はCAVVR（+）群では191.3±39.5％ of Nから175.8±65.3％ of Nに, CAVVR（-）群では134.7±24.5％ of Nから91.3±22.0％ of Nに（p<0.01）, 主心室駆出率はCAVVR（+）群では56.0±4.1％から31.3±8.5％に（p<0.01）, CAVVR（-）群では59.0±3.0％から46.4±6.2％に（p<0.01）減少した. 術前後でのPO2は38.6±7.4mmHgから60.6±9.3mmHgに上昇し（p<0.01）, 心胸郭比は51.0±6.2％から51.9±6.2％と変化せず, 右房圧は8.2±3.6mmHgから13.4±2.5mmHgに（p<0.01）上昇した. 共通房室弁を合併した単心室は主としてFontan手術の適応となるが, この際, 体肺静脈還流異常に即応する症例に応じた術式の選択が必要になる. Fontan手術時の共通房室弁逆流に対しては亜全周性の弁輪形成術が有効であった. |
