アブストラクト(41巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠状動脈バイパス術後の大伏在静脈グラフト病変に関する組織学的検討
Subtitle : 原著
Authors : 小林俊也, 布施勝生, 成瀬好洋, 渡辺泰徳, 小西宏明
Authors(kana) :
Organization : 虎の門病院循環器センター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 4
Page : 592-597
Year/Month : 1993 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠状動脈バイパス術(CABG)後遠隔期における大伏在静脈グラフト(SVG)の病的変化の原因を明らかにするため, 再手術を施行した症例から前回手術時に移植されたSVGを採取し, その病理組織学的検討を行った. 対象は13症例から採取した17本のSVGであり, 初回手術から再手術までの期間は7ヵ月から12年, 平均7.5年であった. 術後早期の造影にて閉塞が確認されていた早期閉塞のグラフト4本の病理組織所見ではグラフト壁の明らかな変化は認められず, 内腔の血栓形成のみであった. この4本を除く他の13本のグラフトには, 遠隔期のSVGの変化として重要であると考えられる2つの病変の存在が認められた. 1つは線維性内膜肥厚であり, これは13本のグラフトすべてに存在していたが, 内腔閉塞の原因となるほどの強い変化が認められたのは1本のみであった. 線維性内膜肥厚は静脈が動脈化するための生体反応であると考えられ, 中にはそのためにグラフト閉塞に至ったものもあるが, 多くはグラフト病変の主たる原因とはなっていなかった. もう1つの病変はアテローム硬化であり, これは13本中11本のグラフトに認められた. アテローム硬化はいずれもグラフトの閉塞ないしは狭窄に大きく関与しており, 遠隔期におけるSVG病変の原因として重要であると考えられた. 線維性内膜肥厚とアテローム硬化は異なる病変であり, この2つを明確に区別してSVG病変の原因を考えることが重要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス術, 大伏在静脈グラフト, 組織学的検討, 線維性内膜肥厚, アテローム硬化
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