アブストラクト(41巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工心肺を用いない心拍動下冠状動脈バイパス術
Subtitle : 原著
Authors : 田代忠, 藤堂景茂, 春田泰伸, 安永弘, 永田昌彦, 中村正直
Authors(kana) :
Organization : 聖マリア病院胸部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 4
Page : 598-602
Year/Month : 1993 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 人工心肺及び心停止を用いずに心拍動下にCABG(以下, 心拍動下CABG)を15例に行い良好な結果を得た. 対象例15例は, 年齢47~82歳平均65歳, 冠状動脈病変枝数1~3平均1.9枝病変. 術前診断は安定狭心症9例, 不安定狭心症5例, 急性心筋梗塞(PTCA合併症)1例で, 胸部下行大動脈瘤, 腹部大動脈瘤を各1例(胸部下行大動脈, 又は腹部大動脈人工血管置換術同時施行)に伴っていた. 手術方法は, 胸骨正中開胸にて心臓を露出し, 冠状動脈を3-0糸にてテーピングし冠状動脈を遮断し, 人工心肺, 心停止を用いることなく心拍動下にCABGを行った. 1例当たり平均1.6ヵ所のCABGを行い, 内胸動脈(以下ITA)は全例に使用した. 吻合部位は, LAD(#7)15ヵ所, RCA(#3)8ヵ所でありRCAのendarterectomyを2例に行った. 1ヵ所の吻合に必要とした冠状動脈遮断時間は7~14分平均10.3分であった. 早期死亡, 心筋梗塞, 術後IABPは0%であった. 術後平均4ヵ月の経過観察にて, 狭心痛再発, 心事故, 遠隔死亡の発生は見られなかった. 心拍動下CABGは, 体外循環, 心停止の侵襲を全く受けることなくLAD, RCAに対するITA, SVGを用いたCABG, RCAのendarterectomyが可能であった. また, ITAのみを用いればaortic no-touch techniqueも可能であった. 心拍動下CABGは, CABGの安全性を更に向上させ, 今後重症例を含めてCABGの適応を拡大する有用な方法であると考えられた. 本論文は人工心肺を用いない心拍動下CABGに関する国内での最初の報告と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス術(CABG), 人工心肺を用いない, 心拍動下CABG, 内胸動脈, aortic no-touch technique
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