Abstract : |
SLL型単心室症の6歳男子にmodified Fontan手術及び左上大静脈を用いたbidirectional Glenn shuntを施行し, 術後右上大静脈・下大静脈の完全閉塞を合併した. これらの合併症にもかかわらず, この患児は現在も元気に生活している. 当施設では, 本症例のように左右上大静脈間の交通が認められない場合, 左上大静脈をbidirectional Glenn shuntとするため, 体静脈還流が維持され救命し得たと考えられた. また, Fontan型手術後にCVPカテーテルの長期留置が必要な場合は, 予防的に抗凝固或は抗血小板療法を行う必要があると考えられた. 今日, 単心室症に対する外科治療として, septationやmodified Fontan手術が一般的な方法として用いられているが, いずれにしても術後の循環及び呼吸管理は依然として困難なことが多い. われわれは, SLL型単心室症に対するmodified Fontan手術後, 重症肺合併症で術後管理に難渋し, 術後7ヵ月後の心臓カテーテル検査にて右上大静脈・下大静脈の完全閉塞という極めて珍しい合併症を確認した症例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する. |