アブストラクト(41巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心嚢内に穿破した成熟型奇形腫の1例
Subtitle : 症例
Authors : 塚本三重生*, 大森一光*, 北村一雄*, 大畑正昭*, 瀬在幸安*, 根本則道**
Authors(kana) :
Organization : *日本大学医学部第2外科, **日本大学医学部第2病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 4
Page : 688-693
Year/Month : 1993 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は10歳, 男児. ドッヂボール競技中ボールを胸で受け止めたところ突然胸痛が出現したため入院した. 胸部X線写真像, CT, MRIなどから縦隔腫瘍及びその心嚢内穿破による心タンポナーデの診断を得, 心嚢ドレナージを施行した. 心嚢液は橙黄色混濁を呈しており, CA19-9が6,538.2U/mlと高値であった. 全身状態が安定した後, 腫瘍摘出術を施行した. 腫瘍は5×6×3cmの弾性硬の部分と4×6×0.8cmの嚢状の成分を認め, 嚢胞内には粘稠度の強い黄色の液体を含んでいた. 病理組織学的診断はmature teratomaで, ランゲルハンス島を含む膵組織が認められ, 心嚢に穿破した部位では出血を伴う潰瘍と肉芽組織が観察された. 心タンポナーデを呈した奇形腫の報告はわれわれが検索し得た限りでは本症例を含めて14例であり, 本症例が最年少であった. 病理組織学的には膵組織が観察された症例が多く, 自己融解が穿破の大きな要因になったと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縦隔奇形腫, mediastinal teratoma, 心タンポナーデ, cardiac tamponade
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