アブストラクト(41巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 両側内胸動脈による多枝バイパスの検討
Subtitle :
Authors : 尾崎直, 佐藤順, 戸部道雄, 小川伸郎, 林康史, 前原孝光, 浜田俊之, 内田敬二
Authors(kana) :
Organization : 神奈川県立循環器呼吸器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 6
Page : 962-968
Year/Month : 1993 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1982年より1991年3月までに367例の冠状動脈血行再建術(CABG)を施行した. 内胸動脈(ITA)によるCABGは240例で両側ITAによる多枝バイパスを68例に施行しその手術成績について検討した. 片側ITAのCABG 172例と比較した. これらにつきバイパス数, 開存率, 術中のグラフト流量, 大動脈遮断時間, 体外循環時間, 術前後の心機能, トレッドミル検査, 術後合併症, 死亡率, 輸血の有無などについて検討した. 両側ITAの平均年齢は58.5歳で男性62例, 女性6例であった. 両側ITAによるバイパスの内訳はLITAはLCX, LADにRITAはLAD, RCAに多くバイパスされた. ITAのみのバイパスは23例あった. 全体の平均バイパス数は3.18枝であった. 片側ITAによるバイパスの内訳はLADが144枝と多く, ITAのみのバイパスは36例あり9例にLAD-DBのsequentialバイパスが行われた. 平均バイパス数は3枝であった. 両側ITAの術前後の心機能に差は認められなかった. 両側ITAのトレッドミル検査では術後, 有意に改善しCell saverの導入により輸血率も改善した. 術後早期の開存率は両側ITAでは97.5%, 片側ITAでは98.2%であり, 大伏在静脈は有意差はないものの低い値であった. 術後合併症は出血, 心タンポナーデとLOSによるIABP使用が両側ITAにおいて有意に高率であった. PMIは両側ITAで3例あり全例陳旧性心筋梗塞の症例であった. 死亡率は両側ITAで1例(1.5%)と低値で, 片側ITAと差はなかった. 両側ITAによる冠状動脈多枝バイパスは高齢者でも可能で症例を選択すればリスクは極めて低く安全に行い得る.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 両側内胸動脈, 多枝バイパス, Cell saver, 開存率, 術後合併症
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