アブストラクト(41巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Vmax及びTime Constantの開心術直後心機能評価における有用性
Subtitle :
Authors : 橋本良一, 保坂茂, 鈴木章司, 加藤淳也, 佐々木啓明, 吉井新平, 松川哲之助, 多田祐輔
Authors(kana) :
Organization : 山梨医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 6
Page : 986-994
Year/Month : 1993 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術直後は測定法に種々の制限があると共に前・後負荷が急速に変化することが多いため左室機能を正確に評価することが困難である. われわれは左室圧波形のみから求めることができるVmaxと等容拡張期圧の時定数(TC)をパソコンで簡単に測定するシステムを開発し, それらの指標の前・後負荷が急速に変化している条件下での有用性を検討した. 雑種成犬を用い, Control群, Dobutamine 2及び5μg/kg/min投与時, 左前下行枝結紮5分, 10分, 15分, 30分後において, 一時的に下大静脈又は下行大動脈を遮断することにより前・後負荷を急速に変化させながら左室圧を記録し解析した. Vmaxは左室圧のみから求めるためGrunkemeierらの方法を用いたが, これとMasonらの方法により求めた値との回帰直線は傾き0.97, Y切片0.19であったことからできるだけ多くの心拍で測定して平均値を用いれば両者の方法による値はほぼ同じになると推測された. Vmaxは前・後負荷変化に影響されにくい指標ではあったが, 前負荷減少, 又は後負荷増大で減少する傾向があり, 左前下行枝結紮5分から15分後の微妙な変化では前・後負荷変動の有無により評価が異なることがあった. TCは左前下行枝結紮5分後より増大する鋭敏な指標であるが, 後負荷に大きく影響され最高左室圧と良好な直線相関を示すため, 後負荷変動がある時には最高左室圧との回帰図を用いることで有用となった. Vmax, TCは左室圧波形のみから簡単, 且つ正確に測定できる指標であり, 以上の2, 3の点に留意すれば前・後負荷変化の激しい開心術直後の左室機能評価にも有用であると言えた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Vmax, Time Constant, 開心術, 左室機能評価, 左室圧
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