Abstract : |
1987年4月から1992年3月までの5年間に当教室でASD根治術を施行した18歳以上の成人例29例を, 49歳以下群(I群)18例と50歳以上群(II群)11例に分け, 両者の比較を行った. (1)性別, (2)症状の有無, (3)胸部X線所見:CTR, (4)腎機能:BUN, Cr, (5)肺機能:肺活量, 一秒率, (6)心エコー検査所見:僧帽弁逸脱(MVP), 僧帽弁閉塞不全(MR), 三尖弁閉鎖不全(TR)の有無, (7)心カテーテル検査所見:右→左シャント率, 肺体血流比(Qp/Qs), 肺動脈圧, (8)手術所見:欠損孔の大きさ, 手術方法, (9)術後不整脈の有無に関して検討した. 更にII群に関しては予防的にジギタリスを投与しなかった7例と予防的にジギタリスを投与した4例に分けて術後不整脈の発生率を検討した. その結果高齢者群は, 1.女性が多い(82%:61%), 2.症状を有する者が多い(82%:44%), 3.胸部X線にて心拡大が強い(CTR 58±5%:50±5%), 4.欠損孔の面積が大きい(4.9±2.1cm2:3.3±1.6cm2), 5.肺活量が少ない(91±14%:105±14%), 6.術後不整脈の発生率が高い(55%:6%)ことなどが示された. 更に術後不整脈については術直後よりジギタリスを使用することで発生率を減少させることができた(86%→0%). 術後一過性不整脈の原因として術後の左心機能低下が推測された. |