アブストラクト(41巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道癌術後におけるhypercoagulable stateの増悪因子と回復遅延因子の検討
Subtitle :
Authors : 高原光則, 薄場彰, 遠藤豪一, 今野明, 外山雅文, 鈴木弘行, 今野修, 井上仁, 元木良一
Authors(kana) :
Organization : 福島県立医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 7
Page : 1133-1142
Year/Month : 1993 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道癌術後には凝固機転が亢進し, いわゆるhypercoagulable stateとなる. そこでこのhypercoagulable stateの増悪因子及び回復遅延因子について食道癌患者34例を研究対象とし以下の成績を得た. (1)増悪因子:手術時間500分以上の17例では手術時間500分未満の17例より, プロトロンビン時間(PT)が減少し, 血小板の回復が遅延した. また手術時間450分以上の24症例では手術時間が長い程抗トロンビンIII(ATIII)が減少した. また術中出血量600ml以上の22例は600ml未満の12例より, 血小板数が減少し, 組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)が著増した. しかし, 術中輸血量と凝血学的パラメーターとの間には相関関係は認められなかった. (2)回復遅延因子:70歳以上の8例は 70歳未満の26例より術後の血小板数(PLT), プラスミノゲン(PLG), 抗プラスミン(α2PI)の回復が遷延し, フィブリノゲン(FBG)の増加が不足していた. しかし, 癌の進行度や術前の照射療法はhypercoagulabilityと特に相関性は見いだせなかった. 術後の臓器機能では肝機能が最も重要で, GOT 100U以上, 総ビリルビン2mg/dl以上, コリンエステラーゼ230IU/L未満, 総蛋白5.5g/dl未満では, PLT, PTの減少及び活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長を認め, 極軽度の肝機能障害でもhypercoagulabilityと密接に関係した. 一方, 術後の腎機能, 心機能, 呼吸機能とhypercoagulabilityとの間では相関が見られなかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌, hypercoagulable state, 増悪因子, 回復遅延因子
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