Authors : |
永松佳憲, 小野博典, 都志見睦生, 高木賢明, 岩永大, 那須賢治, 林明宏, 足達明, 林田良三*, 掛川暉夫 |
Abstract : |
肺摘除症例を対象とし, 術後のquality of lifeの重要な判定指標の1つであるPerformance Status (P.S.)の予測が, 術前のスパイロメトリーによる肺機能検査及び一側肺動脈閉塞試験(UPAO試験)で可能であるかを検討した. 1980年から1991年に行われた肺摘除症例中, 術後半年以上生存した29例を対象とし, 術後半年以上経過した時点で対象症例をP.S.が0~1のA群(16例)とP.S.が2~3のB群(13例)の2群に分けた. この2群間で以下の測定項目を比較することによって術後P. S.の予測を行った. 測定項目は肺活量(VC), 1秒量(FEV1.0), VC/m2)FEV1.0/m2, 切除肺区域数によって求めた予測VC/m2, 予測FEV1.0/m2, そしてUPAO前, UPAO 15分時(UPAO時)の平均肺動脈圧(PPA), UPAO前, UPAO時の全肺血管抵抗(TPVR), PPAの変化率, TPVRの変化率である. 結果は, UPAO前のTPVR(p<0.05), UPAO時のPPA(p<0.05), UPAO時TPVR(p<0.002), TPVRの変化率(p<0.02)においてB群がA群に比較して有意に高値を示した. そのほかの項目では2群間に差は認めなかった. 肺摘除症例に対してUPAO試験を行いUPAO時のTPVRが350dyne・sec・cm-5/m2以上であれば, 術後のP.S.の低下が予測され, その対策が必要と考えられた. |