アブストラクト(41巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Low Potassium Dextran Glucose液を使用した21時間保存肺による犬両肺移植
Subtitle :
Authors : 泉貞言, 寺本滋
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 7
Page : 1163-1171
Year/Month : 1993 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 移植直後から完全にガス交換が移植肺に依存するbilateral single lung transplantation(BSLT)モデルを用い, 細胞外液型組成であるlow potassium dextran glucose(LPDG)液による長時間肺保存の可能性を検討した. 雑種成犬を用いドナー肺はLPDG液で灌流, 100%酸素にて膨張させた状態で同液に単純浸漬し8℃にて保存した. 保存後の肺は人工心肺を使用せずBSLTを行った. I群(n=5)は実際の臨床肺移植に準じた比較的短時間保存群(肺虚血時間は右肺:3時間9分±28分, 左肺:6時間2分±33分), II群(n=6)は長時間保存群(右肺:18時間11分±28分, 左肺:21時間6分±21分)とし比較検討した. レシピエントは, 移植後12時間まで人工呼吸器下に管理した. この間PaO2は, 両群間に有意差なく500~600mmHg(FiO2=1.0)と安定して良好なガス交換能を示し, 平均肺動脈圧 も両群間に有意差なく19~27mmHgと安定していた. 移植12時間後に人工呼吸器から離脱し, 自発呼吸下でI群は5頭全例, II群6頭中4頭が生存し, I群にて最長4日, II群にて8日の生存例が得られた. 移植後1日目の室内気における自発呼吸下での動脈血ガス(PaO2, PaCO2)は, I群(n=2)が(84.4±11.2mmHg, 23.8±0.2mmHg), II群(n=2)が(79.1±0.2mmHg, 37.2±1.0mmHg)と両群とも良好であった. II群の8日生存例は, PaO2が術後1日目79.3mmHg, 3日目75.0mmHg, 6日目70.5mmHgと気管支吻合部離開で死亡するまでは良好な動脈血ガス値を呈した. 以上の結果から, LPDG液による21時間肺保存後のBSLTの可能性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 犬両肺移植, LPDG液, 細胞外液型保存液, 肺保存
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