Authors : |
森義雄, 広瀬一, 梅田正五, 小久保光治, 村川真司, 酒井聡, 東健一郎, 山田拓, 橋本昌紀 |
Abstract : |
開心術において心修復後体外循環(ECC)離脱前で, 左室が減負荷された状態での適切な心機能評価は重要ではあるが困難とされてきた. 前負荷, 後負荷に影響されない左室収縮力の指標としての左室EmaxがECC離脱前の減負荷の状態にある時期においてECC離脱決定の指標とし得るか否かを臨床的に検討した. 開心術症例のうち大動脈冠状動脈バイパス術10例, 大動脈弁置換術2例, 僧帽弁置換術4例, 合計16例を対象とし, 術中, 左室にコンダクタンスカテーテル(Baan)を留置し, 左室圧-容積ループを作成した. ECC中大動脈遮断解除45分後にペーシング負荷(120/min)を加えたが, 左室Emaxの変化は認めなかった. その後, ドブタミン(10μg/kg/min)持続投与中, 左室Emaxは投与前より26±29%増加した(p<0.01). ドブタミンにより左室Emaxが増加した14例では, ECCよりの離脱は容易であった. しかし, 増加しなかった2例では, エピネフリン使用にてもECC離脱困難で, 大動脈内バルーンパンピング(IABP)による補助にてECCを離脱し得た. 体外循環中に左室Emaxを測定し, ドブタミン負荷(10μg/kg/min)を行いその変化率をみることによりECC離脱決定あるいはIABPの必要性の指標とし得る可能性が示唆された. |