Abstract : |
肺の部分切除67病巣に対してNd-YAGレーザーメスを用いて病巣を切除した後にdeforcused beamで切離面の照射を行い, 52ヵ所に対しては肺の縫合を行わず閉胸した. 男性3例, 女性2例で年齢は60歳から82歳(平均68歳), 病理診断の内訳は転移性肺腫蕩3例(4開胸65病巣), 良性肺腫瘍1例(1病巣), 器質化肺炎1例(1病巣)であった. 一側開胸の4例ではCTで計測した腫瘍径は1.4±0.7cmで肺表面から腫瘍下極までの深さは2.4±1.0cmであった. 術後は4例中3例に1日以内に空気漏れの完全消失がみられたが1例(腫瘍径2.5cm, 深さ4cm)では空気漏れが持続し, 気管支鏡下に気管支塞栓術を行った. 一方, 両側開胸の転移性多発肺癌(62病巣)ではCTで計測した腫瘍径は1~3cmで深さは1~6cmで, ドレーン抜去は一側が9日, 対側が12日であった. 術後の胸部X線で3例に切除部位に結節陰影がみられたが徐々に縮小した. 部分切除の適応となる肺病巣の内, 末梢に局在する病巣に対してはNd-YAGレーザーメスによる切除のみで肺の縫合の必要はない. しかし, 中枢側に局在する病巣に対しては従来どおりの縫合を必要とする. 本法は今後胸腔鏡下の肺末梢の部分切除手術に応用可能である. |