アブストラクト(41巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓移植後長期生存犬の剖検所見及び遠隔期冠状動脈病変の病理学的検討
Subtitle :
Authors : 八田光弘, 野々山真樹, 星浩信*, 盆子原幸宏, 佐藤志樹, 斎藤聡, 上部一彦, 北村昌也, 遠藤真弘, 小柳仁
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科, *国際分子免疫細胞センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 8
Page : 1291-1297
Year/Month : 1993 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 同所性心臓移植後長期生存犬について, 病理所見について検討を加えた. 長期生存犬は, それぞれ430日, 460日生存し死亡した. 剖検所見から生存犬Aは拒絶反応による心不全死であり, 生存犬Bは, 心内膜炎によると考えられた. 心房吻合部, 大動脈吻合部は良好な修復所見を示し, 拒絶反応による組織の脆弱化, リンパ球の浸潤は認められなかった. 冠状動脈病変は, フィブリンの集積を伴う内腔狭窄であり, 極めてびまん性に, 末梢まで狭窄病変と認めた. 太区間(>500μm), 中区間(100~500μm), 細区間(<100)とに分類し狭窄程度を検討したところ, 中区間に有意な狭窄所見を認めた. また, 電顕所見では, リンパ球, マクロファージの集積を50μm以下の細動脈においても認められた. 各冠状動脈領域における検討では, 有意な傾向は認められなかった. 以上の病理学的検討から, 移植後冠状動脈の特徴的所見として, (1)急速な病変の進行, (2)びまん性の内膜集積, (3)内弾性板の温存があげられ, 今後, 診断法, 治療法の確立が重要であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心臓移植, 冠状動脈硬化症, 冠状動脈バイパス術, 免疫抑制療法
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