アブストラクト(41巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 狭小大動脈弁輪に対する無冠尖部supraannular位弁置換術の評価
Subtitle :
Authors : 高原善治, 須藤義夫*, 村山博和*, 瀬崎登志彰*, 中村常太郎*, 中島伸之
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学医学部第1外科, *千葉県立心肺センター鶴舞病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 8
Page : 1330-1334
Year/Month : 1993 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 狭小大動脈弁輪に大動脈弁置換術(AVR)を施行する際, 無冠尖部分をsupraannularに縫着することにより, より大きいサイズの弁を使用することができる. 本法は弁転拡大術に比べ手術侵襲が少ないが, 代用弁が傾斜して縫着されるため, 弁不全や弁圧較差を生じることが考えられる. そこで本法を施行した15例を対象として検討を行った. 体重は47.3±8.0kg, 体表面積は1.39±0.14m2であった. 使用した代用弁はBjork-Shiley弁23mm 1例, 21mm 13例, 19mm 1例であった. 病院死及び平均24.2±20.8ヵ月までの遠隔死はなかった. 心胸比は術前60.1±6.5%, 術後退院時56.1±6.8%, 遠隔期55.0±6.0%と改善した. NYHA分類は術前II度3例, III度10例, IV度2例であったが, 術後II度3例, I度13例に改善した. 術中閉胸直前に大動脈弁圧較差を測定したのは12例で0~15mmHg, 平均7.0±4.6mmHgであった. 遠隔期超音波ドップラー法による大動脈弁圧較差は1サイズ大きくした19mmは42mmHg, 21mmは29.9±7.3mmHg, 2サイズ大きくした23mmは30mmHgであり, 通常の21mmのAVR 13例の遠隔期の27.4±7.1mmHgと有意差はなかった. また超音波エコーにて弁周囲逆流を認めたのは2例でいずれもtrivialなものであった. 以上より本法は手術手技が簡単で心機能の改善が得られ, 遠隔期においても弁不全は認めず1サイズ大きい弁を移植する有効な方法と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 狭小大動脈弁輪, supraannular位AVR, 大動脈弁輪拡大術, 大動脈弁圧較差
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