アブストラクト(41巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 本邦人大伏在静脈グラフトにおける術後遠隔期開存性とVein Graft Disease
Subtitle :
Authors : 堀井泰浩, 須磨久善, 鰐渕康彦, 福田幸人, 木川幾太郎
Authors(kana) :
Organization : 三井記念病院循環器センター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 9
Page : 1447-1451
Year/Month : 1993 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 欧米では, 術後遠隔期における大伏在静脈グラフトの開存性は不良であることが証明されているが, 本邦においてはまだ十分な遠隔期の成績は検討されていない. 今回われわれは, 冠状動脈造影検査の内から, 術後5年以上経過した症例を集計し, その画像上の変化と併せて分類検討した. 術後5年以上8年以下の中期群は44例80本, 術後9年以上最長17年までの長期群は33例62本であった. 画像上の病変の程度により, 便宜的に5段階に分類した. I度を血管壁が平滑で狭窄病変のないもの, V度を閉塞例とし, 高度壁不整例をIV度, 50~75%の狭窄病変を有するものをIII度, 軽度狭窄例をII度とした. I度は中期群24%(19本), 長期群の5%(3本)にみとめ, II度では中期21%(16本), 長期16%(10本), III度では中期10%(8本), 長期14%(9本), IV度は中期14%(12本), 長期42%(26本), V期は中期31%(25本), 長期23%(14本)であった. 大伏在静脈グラフトの開存率は, 中期群69%, 長期群77%であり, 欧米の報告に比較して, 良好な結果であった. しかし, その開存グラフトの内で, 有意な狭窄病変を有するものは, 中期群及び長期群全体の, 各々25%, 56%であり, 開存グラフトとして扱われるものの内での比率は, 中期群で36%, 長期群では実に73%に達した. 本邦人大伏在静脈グラフトにおいても, 術後9年以上の遠隔期には, 開存グラフトに高率に特異な器質的変化Vein Graft Diseaseが認められた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス術, 大伏在静脈グラフト開存率, Vein Graft Disease
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