アブストラクト(41巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 本態性血小板血症患者における僧房弁位人工弁置換術の1経験
Subtitle :
Authors : 野並芳樹, 笹橋望, 佐藤幸治, 小越章平, 田宮達男
Authors(kana) :
Organization : 高知医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 9
Page : 1567-1572
Year/Month : 1993 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 本態性血小板血症は慢性骨髄増殖性疾患に分類されるまれな疾患であり, 末梢血の持続的な血小板増多と機能障害に起因する血栓形成傾向と易出血傾向を併せもつ複雑な病態を有し, その続発症が予後を左右している. 本症に僧帽弁狭窄症, 心房細動, 感染症心内膜炎を来した62歳の男性に僧房弁尖切除, 機械弁置換術を施行したところ, 急性胃潰瘍から大量出血を来した. 保存的療法では止血し得ず緊急胃切除術を行ったが, その後も残胃からの出血が持続したため左房, 機械弁の血栓形成予防の抗凝固療法(ウロキナーゼ)を中断せざるを得なかった. 代わってメシル酸ガベキサートGabexate- Mesilate(FOY(R))の投与を行ったところ, 止血を得たため胃手術後13日よりワーファリン, ブコロームの投与を開始しトロンボテストが安全域に達した時点でメシル酸ガベキサートを中止し左房, 人工弁の血栓形成も来さず順調に回復し得た. 本態性血小板血症に対しては胃手術後1ヵ月から骨髄抑制剤のブスルファン(Mablin(R))投与を開始し血小板数を60~80万/mm3に維持した. 本例は本態性血小板血症を合併した弁膜症手術の本邦報告初例であると思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 本態性血小板血症, 開心術, 機械弁置換術, メシル酸ガベキサート
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