| Authors ： |
芳村直樹**, 山口眞弘, 大橋秀隆, 今井雅尚, 大嶋義博, 山下輝夫**, 豊田吉哉**, 三戸壽*, 鄭輝男*, 細川裕平*** |
| Abstract ： |
1980年1月より1991年9月までに, 新生児期にBlalock-Taussig（B-T）手術が施行された14例（N群）と入院後40日以上プロスタグランディンE1（PGE1）を投与し, 乳児期にB-T手術が施行された22例（P群）を対象とし, PGE1長期投与の可否につき検討した. N群の手術時日齢は4～23（平均13）日, PGE1の術前投与期間は2時間～21日（7日）であった. P群の手術時月齢は1～5（2）ヵ月, PGE1の術前投与期間は42～158（78）日であった. 手術時体重はN群3,212±490g, P群4,359±339g（p＜0.001）, 術中計測による鎖骨下動脈外径はN群3.4±0.4mm, P群3.7±0.5mm（N.S.）, 肺動脈外径はN群5.1±1.3mm, P群6.4±1.2mm（p＜0.005）と, いずれもP群の方が大きかった. 手術時間はN群165±22分, P群174±25分（N.S.）, B-T吻合の際の肺動脈遮断時間はN群31±10分, P群30±5分（N.S.）と, 両群間に差を認めなかった. 両群共, 手術死亡例はなかった. 遠隔成績：N群；5例に対し, 平均2年2ヵ月後にB-T手術が追加された. B-T手術を追加することなく根治手術が施行されたものが1例, B-T手術追加後, 根治術が施行されたものが2例で, うち1例が死亡した. 1例が遠隔死した. P群；4例に対し平均5年11ヵ月後に根治術が施行された. 9例に対し, 平均2年4ヵ月後に, 計10回のB-T手術が追加された. 3例が遠隔死した. B-T手術追加及び遠隔死例をpalli-ation不良例とし, 両群の遠隔成績を比較すると, good palliation率は術後1年でN群85.7％, P群86.4％, 術後3年でN群63.5％, P群55.8％と差はなかった. N群はP群に比して, 手術成績, 遠隔成績共に遜色無く, PGE1長期投与に伴う種々の問題点を考慮した場合, 速やかに手術を行うべきであると思われた. |
