Authors : |
米山克也, 青山法夫, 赤池信, 徳永誠, 南出純二, 小沢幸弘, 山本裕司, 今田敏夫, 天野富薫, 松本昭彦 |
Abstract : |
1984年9月から1989年12月までに開胸開腹し食道切除・2領域郭清を施行した55例を対象として, 全例術後経鼻挿管下にレスピレーター管理を行い, その有用性について検討した. レスピレーター装着日数では3日以内21例(38%), 4~7日24例(44%), 8日以上10例(18%)であった. 7日以内に離脱できた症例は45例(82%)であった. 術後早期より積極的に気管支ファイバーにより喀痰を吸引し, 咳嗽反射の回復を確認して抜管したが, 再挿管例はなく, 気管支ファイバーによる喀痰吸引の有用性を認めた. また術後肺合併症発生例は20例(36%)で, 肺炎7例(13%), 肺水腫12例(22%), 無気肺1例(2%)で, 直死・在院死例は2例で心筋梗塞1例, 縫合不全多臓器不全1例であった. 術前合併疾患の検討では, 呼吸器循環器疾患を有する症例や腎機能低下例に術後肺合併症の発生が有意に多かった. 術中・術後因子との関係では術中出血量・輸血量, 術後輸液量の多い症例ではレスピレーター装着日数が長くなる傾向にあった. またそれに加え麻酔時間, 手術時間の長い症例で術後肺合併症を発生する傾向にあった. 1984年以前の食道癌切除120例では肺炎発生例は36%, 肺炎による直死・在院死例は16%であり, 術直後からの経鼻挿管下でのレスピレーターによる予防的呼吸管理の有用性を認めた. |