アブストラクト(41巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 完全大血管転位症I型に対する二期的Jatene手術のための左室訓練期間についての検討
Subtitle :
Authors : 加藤寛, 明渡寛, 福田宏嗣, 田中知徳, 土谷之紀*, 前野敏也*, 松下亮*, 島崎靖久**, 中田健
Authors(kana) :
Organization : 大阪府立母子保健総合医療センター心臓外科, *大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科, **大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 10
Page : 2023-2028
Year/Month : 1993 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 完全大血管転位症I型(TGA I型)に対する二期的Jatene手術において左室訓練期間は動物実験から1週間でよいという報告がある. われわれはそれを確かめるために, 左室訓練術後の左室機能を検討した. 対象はTGA I型6例であった. 左室訓練手術時年齢は6.6±4.5ヵ月(平均±標準偏差)であった. 左室訓練期間は16日~16ヵ月(6.7±6.4ヵ月)であった. 心エコーは術前, 術後1日~1週間, 1~2週, 2週以降に行い左室拡張末期径(LVDd), 左室駆出率(LVEF), 左室拡張末期後壁厚(LVPWT)を計測した. 左室訓練術後3.7±4.3ヵ月に心カテーテル検査(n=5)を行った. 全例にJatene手術を行い生存した. 乳児早期の2例は心不全, 呼吸不全が高度で各々16, 21日目に抜管できずJatene手術となった. LVDd(n=4)は1週までに増加し, その後は変化しなかった. LVEF(n=4)は術前0.84±0.03, 術後1~4日0.61±0.08に低下したが, 術後7~9日目までに0.83±0.06と正常範囲に改善した. LVPWTは術後7日に症例2~4では4mm以上, 乳児早期の2例は3mm以上に増加した. 左室訓練術後心カテーテル検査(n=5)では左室/右室収縮圧比は術前0.53±0.16から術後0.94±0.04に有意に増加した(p<0.01). 左室収縮期圧は術後49±13mmHgから術後84±4mmHgに有意に増加した(p<0.01). 左室心筋重量は術前正常の40±8%から術後94±11%に有意に増加した(p<0.001). 左室拡張末期容積は術前正常の127±32%, 術後152±49%で差を認めなかった. 左室ポンプ機能は左室訓練術後1週で改善し, LVPWTは術後1週で正常値にまで増加した. 以上より左室機能の検討からも1週間の左室訓練にてJatene手術は可能と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 二期的Jatene手術, 左室訓練, 左室機能
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