Abstract : |
主としてbasaloid cellよりなる癌をbasaloid型食道癌と仮称し, 8例について病理組織学的, 免疫組織化学的に検討した結果, 5例を類基底‐扁平上皮癌(BSC), 2例を腺様嚢胞癌(ACC), 1例を非小細胞型未分化癌と診断した. BSCは充実性胞巣を主体とし, 小嚢胞状構造もしくは柵状構造が特徴的で, 扁平上皮癌(SCC)との移行像を全例に認めた. 免疫染色ではcytokeratin陽性を1例に認めたが, S-100, actin, virnentinは陰性であった. ACCでは典型的な篩状構造は認められず, 高度核分裂像やSCCの混在を認め, 唾液腺のACCとは異なる組織像を呈していた. 免疫染色では筋上皮由来を示唆するS-100やactinが陽性で, BSCとの鑑別に有用であった. 予後では, BSCの5例は全例3年以上生存していたが, ACCと未分化癌は1年以内に死亡した, 以上より, basaloid型食道癌にはBSCやACC, 未分化癌などの組織型が含まれるが, 組織型により予後が異なることが示唆され, その術前診断は重要であると考えられた. |