Authors : |
川田哲嗣, 北村惣一郎, 河内寛治, 森田隆一, 関寿夫, 谷口繁樹, 福富正明, 長谷川順一, 亀田陽一, 近藤禎晃 |
Abstract : |
心筋梗塞後左室瘤(LVA)に対するpatch reconstruction法とdirect closure法の術後左室機能について比較検討した. 対象はpatch reconstruction法を施行したLVA15例, direct closure法9例である. それぞれ8(53%), 5(56%)例には冠状動脈バイパス手術を追加施行した. patch reconstruction法での縫い代を含めた補填パッチの面積は切除瘤面積に対し57±19%であった. 術前及び術後1~2ヵ月において平衡時RI-angiographyと心臓カテーテル検査を施行し, 安静時及び運動負荷時EF(Ejection Fraction), 左室拡張末期圧(LVEDP), 左室拡張末期容積係数(LVEDVI), 心拍出係数(CI), 平均肺動脈圧(m-PAP)を求めた. patch reconstruction群とdirect closure群では術前のEF, LVEDP, LVEDVI, CI, m-PAPに有意差はなかった. 術後, 安静時及び運動負荷時EF及びLVEDVIは有意に(p<0.01), LVEDPも有意に(p<0.05)術前に比し改善を示したが, CI, m-PAPは術前後で有意差は認めなかった. また, これらの指標すべてにおいてpatch reconstruction群とdirect closure群間では術後値にそれぞれ有意差は認められなかった. 術後左室造影からみるとpatch reconstruction法では中隔瘤の取り残しが有意に少なかったが, 心機能上, 差を認めるほどのものではなかった. 以上の事から, LVAに対する両術式では術後EF, LVEDP, LVEDVI, CI, m-PAP等の心機能面には有意の差は認められないが, 大きな中隔瘤を伴う症例にはpatch reconstruction法を選択すべきと考えられた. |