アブストラクト(41巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の縦隔炎に対する有茎性大網充填術
Subtitle :
Authors : 山口敦司, 井野隆史, 水原章浩, 安達秀雄, 井手博文, 川人宏次
Authors(kana) :
Organization : 自治医科大学大宮医療センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 10
Page : 2081-2085
Year/Month : 1993 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術や胸部大血管手術後に伴う合併症としての胸骨感染, 縦隔炎は, ひとたび発生すると非常に重篤な状態に陥ることもある. 当施設において最近2年余の間に264例の開心術, 胸部大動脈手術を行ったが, 胸骨骨髄炎, 縦隔炎を7例(2.7%)認め, これらのうち6例に対し有茎性大網充填術を施行した. 7例の中には, 術前栄養状態の不良な心臓悪液質, 細菌性心内膜炎, 術後呼吸不全の症例などが含まれており, 縦隔炎の発生頻度は体外循環時間の長い症例において有意に高かった. 起因菌はMRSAが5例でMRSEが1例, MSSAが1例であった. 縦隔炎の治療は, 診断がついた時点で創部を開放し, 全身及び局所のバンコマイシン投与と0.5%イソジンによる局所洗浄を行い, その後に有茎性大網充填術を行うという方法をとった. その中の1例は術後5日目に発症した心嚢にまで達する縦隔炎であったが, 2日間の開放洗浄の後に心嚢内と胸骨間を同時に大網で充填して創閉鎖したところ良好な結果が得られた. 有茎性大網充填術は容易で且つ良好な結果が得られ, 推奨に値する術式である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術, 縦隔炎, 発症因子, 大網充填術
このページの一番上へ