アブストラクト(41巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : メシル酸ナファモスタット(FUT-175)とヘパリン化人工心肺回路による非ヘパリン投与体外循環に関する実験的検討
Subtitle :
Authors : 高野弘志, 宮本裕治, 金香充範, 松若良介, 倉谷徹, 雨宮彰, 中埜粛, 松田暉
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 11
Page : 2166-2173
Year/Month : 1993 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : メシル酸ナファモスタット(FUT-175)の投与とヘパリン化人工心肺回路の併用による非ヘパリン投与体外循環の可能性について実験的検討を行った. 体重2~3kgの家兎9羽を対象とし, 右房脱血, 頸動脈送血, 灌流量100ml/kg/minで120分間の体外循環を行った. 実験用回路には, テルモ社により開発された共有結合によるヘパリン化処理をした小型人工心肺回路を用いた. FUT群(n=4)ではヘパリンを投与せず, 抗凝血薬としてFUT-175を体外循環開始直前に2mg/kg, 体外循環中は持続的に5mg/kg/hrを静脈内投与した. 対照としてヘパリンを体外循環直前に4mg/kg, 体外循環60分に2mg/kg静脈内投与したものをヘパリン群(n=5)とした. 両群において活性化凝固時間(ACT), 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT), プロトロンビン時間(PT), FDP, 血小板数を経時的に測定し, 体外循環後の回路内血栓を肉眼及び走査電顕にて観察した. その結果, ACT, APTT, FDPには両群間に有意差を認めなかったが, PTは体外循環中FUT群で有意に短く, 血小板数もFUT群で有意に低値となった(p<0.05). 体外循環後の回路には, FUT群全例で静脈リザーバーに大量の血栓形成がみられた. また人工肺ファイバーの血栓閉塞率もFUT群で有意に高値であった. 以上より, 家兎におけるFUT-175投与とヘパリン化人工心肺回路の併用による非ヘパリン投与体外循環では外因系凝固の抑制が不十分であり, このため血栓形成が防止できないことが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 非ヘパリン投与体外循環, FUT-175, ヘパリン, ヘパリン化人工心肺回路
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