アブストラクト(41巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 広背筋を用いた補助循環法に関する基礎的研究―心筋被覆後慢性犬を用いた検討―
Subtitle :
Authors : 向井友一郎, 築部卓郎, 岡田昌義
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 12
Page : 2301-2310
Year/Month : 1993 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Dynamic cardiomyoplasty(DCMP)を行い, 左有茎広背筋弁(Latissimus dorsi muscle flap;LDMF)が個有心臓との癒着が完成した慢性期での心補助効果, 左室拡張機能への影響について特に検討を加えた. 雑種成犬20頭を用い, DCMPを作成した後, 直ちに駆動実験を開始したグループをI群(n=10), 一旦閉胸し6週間以降に実験を行ったグループをII群(n=10)とした. この2群間でDCMP駆動前後における血行動態を比較した. I, II群共に大動脈圧, 心拍出量, 左室駆出率の有意の上昇がDCMP駆動時に認められた. 左心系の圧変化では収縮期圧は, I群で14.0±9.6%(p<0.001), II群では21.2±10.2%と有意(p<0.001)に上昇し, 特にII群で著明な上昇が認められた(p<0.001). 一方, 左室拡張末期圧はI群で有意な変化はみられなかったが, II群では, 61.6±42.3%と有意(p<0.05)に低下し, II群で著明な低下が認められた(p<0.001). また, 摘出標本の検索からLDMFは心筋と繊維性に癒着して一体化しており, LDMFの収縮が直接的に固有心臓に伝達されるようになった結果, より強力な左室補助効果が得られたものと考えられた. 更に, II群において心エコー法を用いて検討したところ, Mモードの左室短軸像で, 収縮期径はLDMFの駆動により33.8±1.0mmから27.6±1.2mmへと有意に減少し(p<0.001), 左室内径の短縮率(%FS)は57.2±4.6%へと有意(p<0.001)に増加した. 一方, DCMPの非駆動時及び駆動時での左室拡張末期径はそれぞれ, 44.5±0.7mm, 44.5±0.7mmと変化がみられず, LDMFの駆動時にはLDMFと心筋との癒着による明らかな左室拡張障害は認められなかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Dynamic cardiomyoplasty, 急性期左心補助, 慢性期左心補助, 左室拡張機能
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