アブストラクト(41巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Dynamic Cardiomyに関する研究―特に冠状動脈血流波形からの検討―
Subtitle :
Authors : 築部卓郎, 岡田昌義, 向井友一郎
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 12
Page : 2354-2363
Year/Month : 1993 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 重症心不全や広範な心筋切除術後のポンプ失調の治療法としてdynamic cardiomyoplasty(以下DCMPと略す)の有用性が報告されている. しかし本法は広背筋の収縮により心臓を外側から圧迫するため, 冠血流に対する悪影響が最も危惧される. そこでDCMP駆動中の冠動脈血流について検討した. 雑種成犬20頭を用い, 冠動脈結紮により左室自由壁に急性心筋梗塞を作成し心不全の状態とした後, 左有茎広背筋弁にてDCMPを作製した. なお冠状動脈血流の測定は極細径ドプラーカテーテルを左冠状動脈前下行枝起始部に留置し, そのドプラー信号を高速フーリエ交換により周波数分析を行って解析した. 更に, DCMP駆動及び非駆動時の収縮期及び拡張期最高流速, 時間・速度積分値(TVI)などを比較検討した. DCMPの駆動により収縮期の最高流速は20.8±5.0cm/sから25.5±5.5cm/s, TVIは2.0±0.7cmから2.4±0.9cmと有意に上昇した. 一方拡張期も最高流速は駆動により33.5±8.2cm/sから35.0±9.0cm/s, TVIは8.4±2.1cmから9.3±2.7cmと有意に増加し, 収縮期, 拡張期ともDCMPの駆動により冠血流量の有意な増加が認められた. 同時に計測した大動脈圧, 1回心拍出量は駆動により有意に上昇(15.5±4.3%, 42.8±11.2%)し, 左室拡張末期圧が6.0±2.0から4.9±1.7mmHgと低下したことより, DCMPによる左心補助効果が冠血流量の増加をもたらしたものと考えられた. 以上よりDCMPの駆動により冠状動脈の血流速波形からみて冠動脈血流量は上昇し, 全体として良好な心補助効果が得られると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Dynamic Cardiomyoplasty, 冠状動脈血流, 虚血性心疾患, 左室機能, 補助循環
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