アブストラクト(41巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腺嚢腫の2例と本邦報告220例の検討
Subtitle : 症例
Authors : 国原孝, 明神一宏, 俣野順, 佐々木重幸, 前田憲志, 猪俣斉
Authors(kana) :
Organization : 国立札幌病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 12
Page : 2389-2394
Year/Month : 1993 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸腺嚢腫は比較的まれな腫瘍とされていたが, 最近本症の報告は増えてきている. 今回われわれは胸腺嚢腫の2切除例を経験し, 免疫組織化学的検討を加えたので, 本邦報告220例の集計と併せて報告する. 1例は72歳女性で胸部写真上右心横隔膜角の異常陰影を指摘され手術を施行した. 嚢腫は右心膜に付着し, 免疫組織化学的検討では嚢胞上皮はケラチン, CEAで染色されたが, CA19-9は染色されなかった. 他の1例は67歳男性で, 急性心筋梗塞で入院中に胸部写真上左第II弓の突出を指摘され手術を施行した. 嚢腫は胸腺左葉に存在し, 1例目と同様に嚢胞上皮はケラチン, CEAで染色された. 2例目はベーチェット病を合併しており, まれな症例と思われた. 胸腺嚢腫は比較的まれな腫瘍とされていたが, 最近本症の報告は増えてきており, 既に目新しい疾患とはいえなくなってきている. しかし依然本症は他の良性嚢胞性疾患との術前鑑別診断に苦慮するケースが多く, 現在のところ治療は手術が原則とされている. 一方, 最近になって嚢胞貯留液中の腫瘍マーカーによる鑑別診断の試みが一部の施設で行われつつある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腺嚢腫, ベーチェット病, 免疫組織化学的検討
このページの一番上へ