Abstract : |
45歳, 男性の僧帽弁狭窄症+心房細動症例に対し, 僧帽弁直視下交連切開術+maze変法手術を施行した. 洞結節動脈を温存する目的で, maze原法とは異なった切開と冷凍凝固を行った. 術後心房細動は消失してP波の明らかな洞調律となった. 心エコー検査でもatrial kickがはっきりと認められた. 僧帽弁疾患に合併する心房細動に対して僧帽弁手術と同時にmaze手術を行うと, 心房細動が消失するだけでなく僧帽弁手術も容易になる利点がある. 1991年, Coxらは心房細動のmacro-reentry起因説を唱え, 心房に多数の切開線を加えることにより興奮伝播の迷路(maze)を作製し, macro-reentryを形成させない術式を考案した1)2). 今回, われわれは洞結節動脈を温存する目的で切開線の変更と冷凍凝固法を導入したmaze変法手術症例を経験し, 良好な成績が得られたので報告する. 「症例」 患者:45歳, 男性. 主訴:脈の不整と労作時の呼吸困難. 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:1988年, 健康診断にて心雑音を指摘された. この時には洞調律であった. |