アブストラクト(42巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Stage I, II肺癌症例における縦隔郭清の臨床的意義
Subtitle :
Authors : 江里健輔, 杉和郎, 金田好和, 縄田純彦
Authors(kana) :
Organization : 山口大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 1
Page : 8-12
Year/Month : 1994 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 術前CT検査で縦隔リンパ節転移を認めないI期肺癌症例でも, 一律に系統的縦隔リンパ節郭清を行う必要があるのかどうかは問題である. T1あるいはT2で遠隔転移がなく, 且つ術前CT検査及び開胸時の肉眼的所見で縦隔リンパ節に転移を認めない48症例を対象に, 系統的縦隔郭清を行った郭清群(27例)とピックアップ生検程度にとどまった非郭清群(21例)に分け, 生存率, 合併症をretrospectiveに比較検討した. また, 両群の比較を70歳以上の症例(15例)と70歳以下の症例(33例)でも, それぞれ同様の比較検討を行った. 全体の検討では, 郭清群の1年, 3年及び5年生存亡率はそれぞれ, 92.6%, 74.9%, 74.9%であり, 非郭清群の71.4%, 61.9%, 41.3%より有意に良好であった(p=0.022). しかし70歳以上の症例では両群の生存率に有意差はなかった. 郭清群で術後縦隔リンパ節の転移を病理学的にみてみると, 27例のうち3例(11%)に転移がみられた. 呼吸器の術後合併症は郭清群で有意に多く(p=0.001), これは高齢者でも同様であった(p=0.031)が, 術後呼吸器合併症が直接死亡原因と結びつくことはなかった. cN2(-)と判断されても生存率の改善には系統的な縦隔郭清が必要であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌, 縦隔リンパ節郭清, StageI II, 予後, 高齢者肺癌
このページの一番上へ