アブストラクト(42巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁狭窄症治療における直視下交連切開術の再評価―直視下交連切開術と経皮的僧帽弁交連裂開術の比較検討―
Subtitle :
Authors : 高沢有史, 小柳仁
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 1
Page : 38-45
Year/Month : 1994 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 近年, 僧帽弁狭窄症(以下MS)に対し経皮的僧帽弁交連裂開術(以下PTMC)が開始され, その症例は増加しつつある. 本研究は直視下交連切開術(以下OMC)とPTMCの治療成績を比較検討し, MSに対する治療体系を再構築することを目的とした. OMC95例とPTMC54例について, 術前心エコー所見(echo score), 術前後心カテデータ, 手術成績及び遠隔成績を比較検討した. 術前検査所見ではOMC群とPTMC群はほぼ同等であり, 術後の心カテデータでは両群の改善度はほぼ等しかった. しかしながら術後心カテデータにより, 僧帽弁圧較差10mmHg以上, 僧帽弁口面積(以下MVA)1.3cm2未満, Sellers III度以上の僧帽弁閉鎖不全症の出現のうち, いずれかを認めた症例を不成功例とし, 認めなかった症例を成功例(以下S例)として比較すると, S例はOMC群72%, PTMC群63%と, OMC群で多かった. 手術成績と遠隔期生存率では両群に差はなかったが, 非再手術率は術後4年でOMC群100%, PTMC群94.5%とOMC群で高かった. PTMCは軽症MSに対してはOMCと同等の効果が得られたが, MVA0.8cm2以下, total echo score8以上, 弁下部肥厚score3以上のいずれかの症例では不成功率が高く, 進行したMSに対するPTMCの限界を示唆した. OMCでは弁下部病変に対する術式の有効性が示され, 遠隔成績も良好であったが, 弁下部肥厚scoreが4の症例では早期及び遠隔成績は期待できずMVRを考慮すべきであると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁狭窄症, 直視下交連切開術, 経皮的交連裂開術, 心エコースコア, 心臓カテーテルデータ
このページの一番上へ