| Abstract ： |
本院における50歳以上の不完全型心内膜床欠損症（ECD）5例について検討した. 術前NYHA心機能分類はII度3例, III度2例, 心胸郭比は56～68（平均62）％であった. 心カテーテル検査では, Qp/Qs3.4～8.1（平均5.2）, 収縮期肺動脈圧24～48（平均38）mmHgで, 左室造影上Sellers分類1度1例, 2度3例, 3度1例の僧帽弁逆流（MR）を認め, また全例に典型的なgoose neck sign及び僧帽弁裂隙を認めた. 三尖弁逆流（TR）は全例I度以下で有意なものはなかった. また1例に卵円孔開存を合併し, 1例は単心房例であった. 手術は僧帽弁裂隙の直接閉鎖に加え, 僧帽弁側よりの一次孔パッチ閉鎖術を行った. 全例において臨床症状, 心拡大, 僧帽弁逆流及び肺動脈圧の著明な改善が得られた. また術後18～126（平均57）ヵ月の追跡中, 心電図の右脚ブロックは4例中3例で消失し, 上室性不整脈は5例中4例で消失, 正常洞調律に復した. 高齢まで放置されるECD例はまれであり, 特に50歳以上の手術例は本邦でも過去17例の報告しかない. 高齢者の不完全型ECDの外科治療と遠隔期における手術効果につき検討した. |
