アブストラクト(42巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : CABG症例におけるGIK cardioplegiaの順行性及び逆行性併用投与の有用性―順行性投与との比較検討―
Subtitle :
Authors : 茂泉善政, 逢坂研志, 赤坂純逸, 近藤俊一, 清水雅行, 内山哲之, 今井啓道, 熊谷智子, 阿部康之, 鈴木一郎*
Authors(kana) :
Organization : 仙台市医療センター心臓血管外科, *仙台市医療センター臨床工学室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 2
Page : 198-205
Year/Month : 1994 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : GIK cardioplegiaの順行性投与と順行性及び逆行性併用投与の心筋保護効果につき, 1)前壁中隔温の変化, 2)術後酵素の変化, 3)術後血行動態の変化, 4)臨床成績より検討した. CABG症例を対象とし順行性投与群(A群)37例, 順行性及び逆行性併用投与群(C群)28例の2群に分け比較検討した. 平均年齢, 性比, 糖尿病合併率, 冠状動脈病変の程度などに差はなかった. 初回心筋保護液注入後の中隔温は, A群では17例(45%)で十分な低下が得られず, 心筋保護液の追加注入や, 静脈グラフトの遠位側吻合を行い, グラフトを介して心筋保護液を注入するなどの工夫を行った. C群では, 順行性投与のみでは16例(57%)で十分な心筋温の低下が得られなかったが, 逆行性投与の併用にて2例を除き10℃以下となった. また, 遮断中の最低中隔温に差はなかった. 術後酵素(CP-MB, %CPK-MB, LDH)の変化に差はなかった. 術後DOA/DOBの使用量は12時間目にA群で有意に多かったが, 血行動態(CI, LVSWI, RVSWI, RVEF, RVEDVI)の変化に差はなかった. 更に術後LOS, PMI, 心室性不整脈の発生率にも差は見られなかったが, 上室性不整脈はA群の32%に比しC群では57%と有意に(p<0.05)多かった. LADへのIMA使用率はA群32%, C群79%とC群で有意に(p<0.05)高かった. 以上より中枢側に重篤な病変を有する症例においては, 併用投与により心筋保護液の均等分布が得られた. 従って, こうした症例に動脈グラフトに用いたバイパス術を行う場合, 併用投与がより安全で有用と思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋保護, GIK cardioplegia, 順行性投与, 併用投与, 動脈グラフト
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