アブストラクト(42巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Extracorporeal Membrane Oxygenationにおける低温灌流の効果に関する実験的検討
Subtitle :
Authors : 岡部和倫, 清水信義
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 3
Page : 323-331
Year/Month : 1994 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 急性呼吸不全に対して, extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を施行する際, 病的肺を安静化させる至適条件を明らかにすることが, 重要課題である. 今回, 著者は, ECMOにおける低温灌流の効果を検討するために以下の実験を行った. 雑種成犬13頭に右房脱血, 左大腿静脈送血のveno-venous ECMOを施行した. ECMO回路充填液と熱交換器設定温度を, A群の6頭では33℃, B群の7頭では37℃とした. ECMO開始前, 開始後10分, 30分, 1時間, 2時間, 3時間, 5時間に肺動脈血温と食道温を測定するとともに, 腹部大動脈から採血し, 白血球数, 血小板数, ロイコトリエンB4(LTB4), ビタミンE, 補体価(CH50)を測定した. A, B群の肺動脈血温と食道温は, 次第に各群の設定温に近づき, ECMO開始後1時間以降は, 各々33℃と37℃付近に安定した. 白血球数は, A群では前値に対して有意な変動を示さなかった. B群ではECMO開始後1時間以降は, 前値に対して有意の増加を認めた. A群とB群を比較すると, ECMO開始後2時間以降は, 有意にA群が低値であった. 血中LTB4は, 前値に対して, A群ではECMO中, 全測定点で低下し, B群では全測定点で増加した. ECMO開始後30分には, B群と比較して, 有意にA群が低値を示した. 血清ビタミンEは, A群では前値に対して有意な変動を示さなかった. B群では前値に対して全測定点で低下し, ECMO開始後30分, 1時間, 3時間では有意な低下を認めた. 3時間の時点では, B群がA群よりも有意に低値を示した. 以上から, 低温灌流ECMOは, 病的肺安静化のために有効であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ECMO, ロイコトリエンB4, ビタミンE, 白血球, 低温灌流
このページの一番上へ