アブストラクト(42巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環中のProstaglandin E1投与が術後急性期心機能及び腎機能に与える効果
Subtitle :
Authors : 佐藤恭介, 海老根東雄, 田村進, 横室仁志, 鈴木博雅, 隅部俊次, 奥田隆博, 大槻実, 小堺浩一
Authors(kana) :
Organization : 東邦大学大橋病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 3
Page : 360-365
Year/Month : 1994 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 血管拡張作用及び体外循環中のchemical mediatorによる組織障害に拮抗させる目的で, 人工心肺運転中にPGE1を投与し, その術後の循環動態に対する効果と腎機能保護作用について検討した. 対象は合併症のない待機的冠状動脈バイパス術症例である. 体外循環中PGE1を0.03~0.05μg/kg/minで持続投与したPG群(11例)と投与しなかったコントロール群(13例)に対して, 術後24時間までSwan-Ganzカテーテルによる血行動態検査と, 血清クレアチニン, β2-マイクログロブリン, 尿中β2-マイクログロブリン測定を行った. 手術終了までに必要としたドパミン量は有意にPG群が多かった. 手術直後PG群で心係数がやや高く左室仕事量が低かったが, その後は両群はほぼ同じ値をとった. 全身血管抵抗は, 手術直後PG群が有意に低値を示し, 一方肺血管抵抗は術後6時間までPG群がやや高い傾向が認められた. 肺血流が途絶された人工心肺中のPGE1投与により体血管拡張作用が前面に出るが, 血圧維持のためにより多くのα刺激剤を必要とした. 術後の腎機能では, 手術直後PG群が有意に低い血清クレアチニン値を示し, 血清β2-マイクログロブリンも術後6時間, 24時間でやや低かった. 尿中β2-マイクログロブリンは術後6時間後12時間後で有意にPG群が低かった. 以上より, 体外循環中に投与されたPGE1は, 術後の左室後負荷を軽減する. また, 体外循環中に腎糸球体及び尿細管保護作用を示すと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, PGE1, 循環動態, 腎機能
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