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心房細動と肥大型心筋症を基礎疾患として僧帽弁に器質的病変を認めない左心耳内球状血栓症に対して準緊急的に血栓摘出術を行い良好な結果を得た. 本症の診断に際しては, 経胸壁心エコー検査では左心耳の描出が困難であり, 経食道心エコー検査が有用であった. 僧帽弁置換術後を含めて僧帽弁に狭窄病変のない左房内球状血栓症は極めてまれである1). 本症は血栓の遊離により重篤な合併症を来すため, 的確な診断と早期の外科治療が必要である. 今回, 心房細動と肥大型心筋症を基礎疾患とし, 脳梗塞, 下肢動脈閉塞を合併した左心耳内球状血栓症を経食道心エコー検査により確診し, 準緊急的に血栓摘出術を行い救命し得たので文献的考察を加えて報告する. 「症例」症例:62歳, 男性. 主訴:間歇性跛行. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:1983年肥大型心筋症, 1984年脳梗塞にて内科治療中. 現病歴:1988年頃より間歇性跛行が出現し, 徐々に増強するため1990年6月8日, 当科を受診した. 現症:身長167cm, 体重59kg. 意識清明, 運動性失語を認めた. 血圧116/80mmHg, 心拍数74/分, 不整, 脈拍欠損なし. 心音は純. 右下肢に運動麻痺を認めた. 下肢血圧はankle pressure indexで右0.7, 左0.48であった. |
