アブストラクト(42巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 成人中間型心内膜床欠損症の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 安宅啓二, 太田稔明, 芳村直樹, 坂田雅宏, 岡田昌義
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 3
Page : 389-392
Year/Month : 1994 / 3
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は42歳, 女性. 全身倦怠感と労作時呼吸困難を主訴に来院した. 術前のcolor Doppler心エコー検査にて, 僧帽弁閉鎖不全症と三尖弁閉鎖不全症を合併したsmall scooped VSDを伴う心内膜床欠損症(いわゆる中間型)と診断された. 手術所見では, 心房中隔一次口欠損は径30mmであり, small scooped VSDと癒合した共通房室弁を認めた. また, 卵円孔開存及び冠静脈洞・左房交通が認められた. 手術は心房中隔一次口欠損パッチ閉鎖と僧帽弁形成術及び三尖弁形成術を施行し, 術後は順調に経過した. 成人の中間型心内膜床欠損症に対する手術報告例は本邦では現在まで認められず, 本症例を提示すると共に, その診断, 治療につき考察を加え報告した. 心内膜床欠損症(ECD)は合併する僧帽弁裂隙の程度, 心室中隔欠損(VSD)の有無, 及び房室弁の形態により血行動態や臨床症状に著しい差がみられる. 通常, 成人期になって手術がなされるものはVSDがなく, 房室弁もほぼ完全な形で存在する不完全型であり, 大きなVSDを伴う完全型では乳児期に既に心不全症状が出現するため, 成人期まで放置されることはない. 一方, ECDのなかでもVSDがごく小さな, いわゆる中間型の場合には, 血行動態的にも不完全型と類似するため症状の出現時期は遅れるが, その発生頻度は僅かであるため, 成人例での手術報告は現在までみられない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 中間型心内膜床欠損症, 成人症例, 外科治療
このページの一番上へ