Abstract : |
"Familial"型心臓粘液腫の母娘例を経験した. 母親は両心房内に粘液腫を認め, これを周囲組織と共に完全切除した. 第一子(娘)は右室流出路粘液腫で, 腫瘍及び腫瘍茎と広範囲に右室自由壁, 心室中隔を切除したが, 解剖学的に切除範囲は制限をうけた. また, 心エコー, MRI, 超高速CTが腫瘍の存在部位, 動き, 茎の付着部位の検索に有用で, 心臓カテーテル検査の必要性を認めなかった. 更に, "Familial"型あるいは"Complex"型を疑った場合は, 他の部位や家族の検索, 切除後の再発など, 注意深い対応が必要である. 近年心エコー検査の普及により心臓粘液腫は, 増加している. しかし, "Familial"型心臓粘液腫の報告は少ない. "Familial"型心臓粘液腫は, 1971年に, Krauseら1)の報告以来, 17家系が報告されているにすぎない. われわれは両心房内に粘液腫を認めた母親とその第一子の右室流出路粘液腫をそれぞれ手術し, 現在まで再発を認めていない. これは, "Familial"であることと発生部位的にも非常にまれな症例であるので文献的考察を加え報告する. |