アブストラクト(42巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 上行大動脈高度石灰化症例に対し循環停止法を併用した心室細動下にCABGを施行した1例
Subtitle : 症例
Authors : 中山義博*, 岡崎幸生*, 片山雄二*, 須田久雄**, 伊藤翼**
Authors(kana) :
Organization : *古賀病院心臓血管外科, **佐賀医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 3
Page : 446-450
Year/Month : 1994 / 3
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 上行大動脈に高度の石灰化病変を伴った78歳の女性に対し, 循環停止法を併用した心室細動下に冠状動脈バイパス術を施行し良好な結果を得た. 手術は大腿動脈送血にて体外循環を行い心室細動下に大伏在静脈を左回旋枝に, 左右の内胸動脈をそれぞれ左前下行枝と右冠状動脈に吻合した. 術中超音波検査にで上行大動脈基部に動脈硬化が軽度な部分が存在したため, 直腸温を20度まで下げ循環停止とし, 同部に静脈グラフトを直接吻合した. 体外循環よりの離脱及び術後の覚醒には特に問題はなかった. 術後冠状動脈造影では3枝とも良好に開存しており, 術後1ヵ月目に退院, 元気に社会復帰した. 本法及び術中超音波検査は今回のような症例に対しては有用であると思われた. 冠状動脈バイパス術(以下CABG)の手術成績の向上に伴いその適応が重症例, 高齢者例にまで拡大しつつある. その結果, 上行大動脈に著明な動脈硬化性病変を伴った症例に遭遇する機会が増加しており, カニュレーションや大動脈遮断時等に様々な問題点を有する. 今回我々はこのような症例に対し, 循環停止法を併用した心室細動下にCABGを施行, 良好な結果を得たので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス術, 上行大動脈石灰化, 大動脈非遮断, 循環停止法
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