| Abstract ： |
症例は32歳, 男性. TOFに対し右室流出路パッチを用いた根治術を施行した. 術後6日目に膿性のドレーン排液を認め, 検鏡でグラム陽性球菌(再開胸術後にMRSAと判明)が検出され, 縦隔炎の診断で心表面を大網にて充填し, 胸骨を一期的に閉鎖した. その後も発熱が持続し, 縦隔炎の再燃と考え2週間目に再々開胸した. 大網充填部は問題なく, 胸骨骨髄炎と診断し, 胸骨切除, 大胸筋充填術を施行した. 術後, 解熱傾向を示し, 約3ヵ月後に退院となったが, 35日後に発熱が持続し, 緊急入院となり, 血液培養でMRSAが検出された. Gaシンチで右室流出路パッチと思われる部位にhot areaを認め, 感染の再燃と考えたが, 保存的治療に反応し炎症所見も正常化した. その後のGaシンチではhot areaも消失し, 大網の異物感染に対する効果と感染巣の局在判定にGaシンチが有用であることが示唆された. 胸骨正中切開を用いた開心術後の合併症の中で縦隔炎, 胸骨骨髄炎は現在でも死亡率が高く, 治療に難渋することが多い. ましてや心嚢内に人工材料が使用されている場合はいっそう治療に苦慮するところである. 今回われわれはファロー四徴症根治術後に右室流出路パッチにまで感染が及んだ心嚢縦隔炎, 胸骨骨髄炎に対し大網充填術, 大胸筋充填術を施行して良好な結果を得たので若干の文献的考察を加えて報告する. |
