アブストラクト(42巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 転移状況からみた胸腹部食道癌手術の重点的リンパ節郭清について-癌占拠部位の細分化による検討-
Subtitle :
Authors : 佐山淳造, 西平哲郎, 平山克, 標葉隆三郎, 森昌造
Authors(kana) :
Organization : 東北大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 4
Page : 477-485
Year/Month : 1994 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸腹部食道癌226例の占拠部位を, Iuを限局Iu(n=10)とIuIm(n=7)に, ImをImIu(n=21)・限局Im(n=66)・ImE(n=34)と広汎Im(n=6)に, E(=Ei+Ea)をEIm(n=23)と限局E(n=59)に細分化し, 各々についてリンパ節の転移状況を調査することによって, 重点的郭清を行うべき部位の検討を行った. Iu症例のリンパ節転移はTop・105・左106に初発し, これらを中心に頸部・大動脈弓下を含む上縦隔に集中しており, 郭清の重要性が示唆された. IuIm症例では中縦隔の転移率も高く留意する必要がある. Im症例の転移は頸部から腹部まで広範囲にみられ, Top・中下縦隔・胃上部の各領域はどの群でも転移率が高く, その郭清は必須である. これに加えてImIu症例では頸部及び弓下を含む広義の上縦隔, Im限局症例では弓下を除く狭義上縦隔, ImE症例では腹腔動脈周囲の転移率が高く, 郭清の要所と考えられた. また, 初発転移はTopと胃上部に多く, 最も重要な郭清部位と考えられた. 広範Im症例ではすべての領域の転移率が高く, ほとんどがかなりの進行例であった. E症例では初発転移の大部分が下縦隔と胃上部に生じ, 更に中縦隔や腹腔動脈周囲に転移が拡大しているので, この範囲の郭清が重要である. E限局症例では中縦隔の転移率が高くなく, 症例によっては郭清を若干手控えることも可能と考えられた. このような郭清範囲を標準として, 癌の進行度や患者の全身状態も考慮した上で, 郭清範囲を更に拡大あるいは縮小し, より合理的なリンパ節郭清を行うことが大切である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腹部食道癌手術, 重点的リンパ節郭清, リンパ節転移率, 初発リンパ節転移部位,癌占拠部位の細分化
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