アブストラクト(42巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 活動期感染性心内膜炎における外科治療成績と問題点
Subtitle :
Authors : 鈴木伸一*, 近藤治郎*, 井元清隆*, 梶原博一*, 戸部道雄*, 坂本哲*, 牧野達郎*, 福沢邦康*, 松本昭彦*, 相馬民太郎**
Authors(kana) :
Organization : *横浜市立大学医学部第1外科, **済生会横浜市南部病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 4
Page : 520-525
Year/Month : 1994 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1978年1月より1990年12月までに自己弁感染性心内膜炎症例のうちManhasの定義による活動期において, 11例に対し手術を施行した. 手術時年齢は19~54(平均38.8)歳で, 男8例, 女3例であった. 基礎疾患は心室中隔欠損症を2例, リウマチ性弁膜症を1例に認めた. 起炎菌は血液培養にて全例で同定され, Streptococcus群が7例, Staphylococcus群が2例, グラム陰性菌が2例であった. 活動期に手術した理由は, 内科治療に抵抗する感染が7例, 心不全が4例であった. 確定診断から手術までの期間は7~150(平均53)日であった. 手術時所見で疣贅を全例に, 弁の穿孔を6例に認めた. 手術死亡はなかった. 周術期合併症は11例中5例(45%)に認めた. 内訳は細菌性肝動脈瘤破裂, 細菌性膝窩動脈瘤破裂, 化膿性脊椎炎, 人工弁感染(PVE), 肺化膿症が各1例であり, これらはいずれも内科治療に抵抗する感染を理由に手術した症例であった. 肝動脈瘤破裂, 膝窩動脈瘤破裂, PVEの症例は外科治療により, 肺化膿症, 化膿性椎間板炎は内科治療により治癒し得た. 心不全を理由に手術した4例に合併症はなかった. 内科治療に抵抗する感染が存在するIE症例では, 他臓器への塞栓症の存在が感染を遷延化させている可能性があり, これらに対する十分な注意が必要と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 活動期感染性心内膜炎, 外科治療, 周術期合併症, 人工弁感染
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