アブストラクト(42巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部食道癌術後の肺血管外水分量に関与する循環呼吸動態の諸因子について
Subtitle :
Authors : 草野力, 馬場政道, 実操二, 熊之細透, 白尾一定, 夏越祥次, 福元俊孝, 吉中平次, 愛甲孝
Authors(kana) :
Organization : 鹿児島大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 4
Page : 526-530
Year/Month : 1994 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開胸・開腹によって胸部食道癌切除・再建を行った30例を対象として血管外肺内水分量(EVLWI, ml/kg)と他の循環呼吸諸量を術後5日目まで測定し, EVLWIと循環呼吸動態の諸因子との経時的動態の関連性を検討した. 各病日のEVLWIと手術時間, 開胸時間, 術中出血量, 累積輸液量, 累積水分出納, 累積ナトリウム投与量, 呼吸係数(RI), Swan-Ganz catheterより得られた循環諸量, 酸素消費量係数(VO2I)及び術後1・4日目の膠質浸透圧-肺毛細管圧較差(COP-PCP較差)との相関関係について以下の結果を得た. (1)術後1日目のEVLWIは術中出血量と有意の正の一次相関を(p<0.01, r=0.65), 体血管抵抗係数とは負の一次相関(p<0.05, r=-0.43)を示し, 術後早期のpermeability edemaの関与が示唆された. (2)術後2・4日目のEVLWIとRIとの間には有意の相関が認められ(p<0.01), 呼吸動態に対するEVLWIの直接的関与が考えられた. (3)術後4日目のEVLWIと累積水分出納には弱い相関が認められたが(p<0.05, r=0.41), COP-PCP較差などの他の水力学的因子との間には相関を認めなかった. しかし, 術後4日目のVO2IとEVLWIとの間には水分出納以上の相関(p<0.05, r=0.58)が認められ, refilling期のEVLWIには局所の炎症性変化の関与が示唆された. 以上より, 食道癌術後の呼吸動態にEVLWIは密接に関与することが示され, その形成には術後早期は全身的血管透過性亢進が関与し, 術後3~4日目のrefilling期は水力学的因子と共に炎症性変化に伴う肺毛細血管透過性亢進の関与が推察された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部食道癌術後, 血管外肺内水分量, 循環呼吸動態
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