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1989年から1993年までに動脈グラフトのみを用いて冠状動脈バイパス術を施行した症例のうち, 術前及び術後左室造影をともに施行した115例, 282枝を対象とした. American Heart Association（AHA）の分類により左室壁を7区域に分け, 同じくAHA分類の局所壁運動5区分に従って術前術後の左室壁の動きを調べた. 改善率（％）＝術後に壁運動の改善した症例数/術前に壁運動の低下していた症例数×100と定義し, 虚血症例193枝と梗塞症例89枝に分けて検討を行った. 虚血症例においては左内胸動脈（LITA）吻合部の改善率は55.0％（11/20）, 右内胸動脈（RITA）は63.2％（12/19）, 右胃大網動脈（RGEA）は75.0％（12/16）であり, 3者の改善率に有意差は認められなかった. 梗塞症例においてはLITA吻合部の改善率は42.1％（18/19）, RITAは55.6％（5/9）, RGEAは52.9％（18/34）であり, 3者の改善率に有意差は認められなかった. よって左室造影の壁運動の改善度からみて, RGEAはLITA, RITAと同等の有用性を持つと考えられる. （日本胸部外科学会雑誌1994；42：886-889） |
