アブストラクト(42巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 死体心保存に関する実験的研究-保存液と時間的制限に関する検討-
Subtitle :
Authors : 目黒昌, 阿部忠昭
Authors(kana) :
Organization : 秋田大学医学部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 6
Page : 906-913
Year/Month : 1994 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 死体心による心移植の可能性を求めて, 保存液と心停止から摘出までの時間的限界について雄性Sprague-Dawley系ラットを用いて検討した. 対象群は心拍動下に心を摘出し, 直後に保存液としてUW(University of Wisconsin)液を灌流した. 他群は窒息により心停止をはかり, II群・III群は動脈圧平担化から15分後に, IV群は30分後に心を摘出した. II群・IV群でUWを, III群ではEC(Euro-Collins)を保存液として灌流した. いずれの群も30分間0℃で単純浸漬保存を行った後, 30分間Langendorff灌流を行い, 更に30分間working灌流(前負荷20cmH2O, 後負荷75cmH2O)とし, 循環動態を測定した. 灌流終了後に固定を行い, 光学顕微鏡及び電子顕微鏡により組織学的検索を行った. I群・II群は全例working灌流に移行したが, III群は5例中2例, IV群は5例中4例が低心機能のため移行し得なかった. Working灌流30分後の循環動態ではII群はI群と同様の良好な結果を得たのに対し, III群・IV群は有意に低値を示し移植への応用は不可能と思われた. 左室横断面における変性壊死領域の割合の比較でもI群・II群間に有意差を認めなかったのに対し, III群・IV群は高値を示し, 広範な心筋の傷害を認めた. 以上の結果より, (1)著しい虚血状態にある死体心の保存においてUW液はEC液より優れていること, (2)UW液を用いることで, ラットにおいては動脈圧平担化から15分以内であれば移植可能な心グラフトを供給し得ることが示された. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:906-913)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 死体心移植, UW液, 心保存
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