アブストラクト（42巻8号：日本胸部外科学会雑誌）

Title　：	肺尖部胸壁浸潤癌のリンパ行性転移経路と鎖骨上窩リンパ節郭清の意義
Subtitle　：
Authors　：	丹羽宏, 山川洋右, 深井一郎, 桐山昌伸, 片山良彦, 田那村収, 二之湯勝啓, 横地隆, 正岡昭, 佐竹章*
Authors（kana）　：
Organization　：	名古屋市立大学医学部第2外科, *刈谷総合病院胸部外科
Journal　：	日本胸部外科学会雑誌
Volume　：	42
Number　：	8
Page　：	1142-1147
Year/Month　：	1994 / 8
Article　：	原著
Publisher　：	日本胸部外科学会
Abstract　：	肺尖部胸壁浸潤癌切除31例を対象とした. 鎖骨上窩リンパ節郭清は転移リンパ節を触知した症例では, 頸部襟状切開を加え, 非触知例ではhookアプローチ, 前方アプローチによって肺切除と同一体位, 同一術野から施行した. リンパ節郭清はR0 2例, R1 10例, R2a 7例, R3 12例で, N因子はN0 18例, N1 2例, N2 7例, N3 4例であった. R2郭清群では7例中3例（43％）に転移を認め, R3郭清群12例では9例（75％）に転移を認めた. 鎖骨上窩への転移率は4/12（33.3％）であった. 縦隔, 鎖骨上窩へのリンパ節転移経路を3つに分類し, Type I（supraclavicular type）：胸壁から鎖骨上窩へのリンパ経路による転移, Type II（mediastinal type）：肺門から縦隔へのリンパ経路による転移, Type III（mixed type）：Type I, Type IIの両者の経路による転移とした. R3郭清を施行し, リンパ節転移のみられた9例の転移経路は, Type I1例, Type II6例, Type III2例であった. 鎖骨上窩リンパ節転移を認めた4例中2例（50％）は術前に転移リンパ節を触知可能で, 転移経路は3例（75％）が胸壁からの直接経路であった. このうち2例が術後20ヵ月と86ヵ月間, 無再発生存中である. 鎖骨上窩転移リンパ節は, 局所所属リンパ節と考えられ, 1次リンパ節ともいえる同部の郭清を施行することにより予後向上が期待できる. （日本胸部外科学会雑誌1994；42：1142－1147）
Practice　：	臨床医学：外科系
Keywords　：	肺尖部胸壁浸潤癌, 鎖骨上窩リンパ節転移, 鎖骨上窩リンパ節郭清, N3肺癌, hookアプローチ