アブストラクト(42巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 加齢が体外循環中の脳血流動態に及ぼす影響-TCDによる臨床的検討-
Subtitle :
Authors : 上平聡, 本多祐, 殿本詠久, 鈴木喜雅, 石黒真吾, 黒田弘明, 佐々木成一郎, 森透
Authors(kana) :
Organization : 鳥取大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 8
Page : 1163-1170
Year/Month : 1994 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : われわれは加齢による脳動脈硬化が開心術中の脳血流動態にどのような影響を及ぼすかを経頭蓋ドプラ血流計(TCD)を用いて検討した. 成人開心術症例25例を対象とし, 男性は40歳, 女性は50歳を境としてA群:若年者群10例(27~49歳)とB群:老年者群15例(53~70歳)に分類した. 両群とも術前に脳血管障害の既往はなく, 大量Fentany麻酔, 一定体灌流量の定常流, 中等度低体温(直腸温=28℃)体外循環下で, 血液ガス調節はα-stat strategyを用いて全例手術が施行された. TCDの探触子を中大脳動脈血流速(MCAv)が測定できるよう設置し, 体外循環前値を100%とした変化率で脳血流変化を表現した. また脳動静脈酸素含量較差とMCAvとの積から脳酸素消費指数(D-CMRO2)を求め, 脳酸素消費量の変動を検討した. A, B群ともMCAvとD-CMRO2はCPB開始と同時に温度低下に従い減少傾向となって安定し, 復温過程から体外循環離脱かけて有意な増大を認めた. 両群とも体外循環全経過においてMCAvとD-CMRO2の間には有意な一次相関関係を認め(A群:r=0.684, p<0.001, B群:r=0.636, p<0.001), この両者の均衡関係は加齢に関わらず維持されていると考えられた. しかしながら復温過程においてA群では復温開始と同時にMCAvとD-CMRO2は有意に増大傾向に転ずるのに対して, B群では直腸温が30℃に回復した時点で初めて脳血流, 脳酸素消費は増大傾向となり, 復温過程における脳血流と脳酸素消費の反応性は加齢によって遅延となる傾向を認めた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1163-1170)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 加齢, 経頭蓋ドプラ血流計, 中大脳動脈血流速, 脳酸素消費指数
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