Abstract : |
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併した労作性狭心症の60歳, 男性に対し, 冠状動脈バイパス術と脾摘を一期的に行った. 入院時の血小板は1.4×104/mm3と低値であったが, γグロブリン(400mg/kg/day)を5日間投与し, 血小板数は術前日には8.7×104/mm3となった. 手術は冠状動脈バイパス術を先行し, 次いで脾摘を行った. 術後は血小板数が徐々に増加し, 第14病日に70.0×104/mm3にまでになったが, 慎重な抗凝固療法により, 特に問題は生じなかった. γグロブリン多量静注療法後に冠状動脈バイパス術と脾摘を同時に施行した報告は過去にない. ITP合併症例の開心術では, 術前のγグロブリン多量静注療法と同時脾摘の組み合わせはITPの寛解も期待でき, 有効と思われた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1222-1225)最近, 著者らは特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura:ITP)を伴った狭心症症例に対し, 術前のγグロブリン多量静注療法後に冠状動脈バイパス術と脾摘を同時に施行し, 良好な結果を得た. |