アブストラクト(42巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 狭小大動脈弁輪に対する弁輪拡大術
Subtitle :
Authors : 益子健男, 清水昭吾, 奥山浩, 水野朝敏, 鈴木和彦, 中野雅道, 黒澤博身
Authors(kana) :
Organization : 東京慈恵会医科大学心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 42
Number : 9
Page : 1267-1271
Year/Month : 1994 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 教室では大動脈弁置換術に際しては対体表面積当たりの適正サイズの代用弁を挿入することを心がけ, 積極的に弁輪拡大術を行っている. 今回は1991年9月から1993年3月までの間に施行した8例の弁輪拡大術の要点について述べるとともに, これらの術前後の心機能について検討した. 年齢は11~57歳(平均46歳)で, 男性3例, 女性5例であった. 弁輪拡大術の内訳はManouguian手術4例, Konno手術2例, Nicks手術2例である. 術前後の左室機能の指標は心筋重量(LVMg・m-2), 短縮率(%FS), 拡張末期内径(LVDd), 収縮末期内径(LVDs), 後壁々厚(PWTs)より求めた. %FSは35.8±7.8から41.2±9.2, LVDdは47.2±10.4mmから40.2±6.8mm, LVDsは30.0±12.5mmから25.0±6.9mm, PWTsは17.2±3.5mmから15.1±3.1mmへとそれぞれ改善・減少を認めた. LVMは264.7±110.0g・m-2から142.7±52.0gm-2へと有意な低下を認め(p<0.01), 対体表面積当たり小さなサイズの弁を挿入した場合に比較して良好な変化率を示した. また, 平均大動脈遮断時間は154分で術中出血量は平均593mlであり, 3例は無輸血で行えた. 弁輪拡大術によって適正なサイズの代用弁を挿入することはquality of lifeの点からも優れていると言える. また3例が無輸血で手術可能で, 懸念するほどの大きな侵襲とはならないことからも, 積極的な適応拡大が図られて良い手技であると考える. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1267-1271)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 弁輸拡大術, Manouguian手術, Konno手術, Nicks手術, 心筋重量
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